2021年2月24日-25日に小倉で開催された第43回日本美容外科学会にて大岩副院長が、
「CO2レーザーにて皮膚小孔切開を行う埋没法重瞼術」を発表いたしました。
抄録
演題 CO2レーザーにて皮膚小孔切開を行う埋没法重瞼術
【目的】
埋没法重瞼術(以下埋没法)において、皮膚側の小孔切開はメスで行うことが一般的である。しかし、切開時に出血し2~3分圧迫止血する場面は珍しくない。そこで当院では、埋没法の皮膚切開はCO2レーザーを使用し行っている。CO2レーザーは熱凝固作用で止血効果があり、皮膚切開時に出血することがほとんどなく、組織を限局的に蒸散させるため周囲組織へのダメージも少なく創傷治癒が早い。CO2レーザーを使用した埋没法において、術後の経過や合併症などを調査し報告する。
【方法】
対象は2016年4月~2020年6月まで当院で行ったCO2レーザーを使用した埋没法患者624例。当院の埋没法は牧野氏らが報告したmultiple knot法を基本とし行っている。レーザーはエムエムアンドニーク社のレーザリー15Zμを使用し、設定はスーパーパルスモードで出力は4.0W、照射時間は0.2秒としている。基本的に術後再診指示はしていないが、合併症などを愁訴として再診した患者を調査した。また当院の写真モニターとして術後6か月まで経過を追えた30例の中で、術後6か月の時点での肥厚性瘢痕の有無と、患者アンケートにて傷が気になるかどうかを調査した。
【結果】
男性54例、女性570例、平均年齢27歳。重大な合併症としてレーザーによる眼球損傷が1例生じた。角膜板を使用せず、レーザーの出力が強かった初期の症例である。また術後6か月まで経過を追えた患者において、肥厚性瘢痕になった症例や傷が気になるという症例は1例もなかった。
【考察】
眼球損傷は絶対に避けなければならない合併症であり、レーザーの設定を皮膚全層のみを削る出力にし、照射時には角膜板を使用する必要がある。
CO2レーザーを使用した埋没法は、皮膚切開時の出血がほとんどなく、手術時間の短縮につながる。また創部は目立たず、正しく使用することで有用な手法であると言える。